しとしと雨の明石銀座を抜け、魚の棚商店街の一角に小さな暖簾を発見。店頭ではおばちゃんが黙々と銅板の上で生地を流し込み、黄金色に輝くまんまるの明石焼きを次々と焼き上げています。その光景に引き寄せられるように店内へ足を踏み入れると、昭和の風情漂うカウンター席へ。鼻をくすぐる出汁の香りと、ふわり立ちのぼる卵の甘い香ばしさ――ここは創業1952年、明石焼の名店『よこ井』。まるでタイムスリップしたかのような空間に胸が高鳴ります。「本当に美味しいものは、涼しい顔してそこにあるのよ」とでも言いたげな静かな店主の姿に、これから始まる物語への期待が高まりました。✨
店舗の魅力と歴史(店主・場所・地域との関わり)
『明石焼 よこ井』は兵庫県明石市本町1-1-13、明石駅から徒歩5分ほどの魚の棚商店街にあります。戦後間もない昭和27年(1952年)創業の老舗で、現在は創業者の娘さんにあたる2代目の女将が 1人で店を切り盛り されています。実はこちらの初代店主は、明石焼(玉子焼)の生みの親とも言われる伝説の人物・向井清太郎氏から直接秘伝のレシピを教わった唯一の人物なのだとか。向井氏は大正時代に玉子焼きを考案し屋台で提供していた方で、「よこ井」の初代店主(現店主の父)がその屋台の常連だった縁で直伝の味を受け継いだそうです。つまり“明石焼の元祖”向井流の正統な味を今に伝える店というわけですね。
創業から数十年、地元の人々にとって特別な存在として愛され続けてきた「よこ井」。店内奥にはカウンターとテーブル合わせて約20席ほどの小ぢんまりした空間が広がり、昭和レトロな雰囲気が落ち着きを与えてくれます。観光客だけでなく地元常連さんの姿も多く、「玉子焼き」と呼ばれ親しまれるその味は世代を超えて明石の暮らしに溶け込んでいます。ちなみにメニューは潔く明石焼(玉子焼)一本とビールのみで、他のサイドメニューは一切なし。これは「お客さんにベストな明石焼を提供するため」という店主の強いこだわりで、逆に言えば玉子焼き一筋で勝負してきたプライドの表れです。

長年受け継がれてきたその伝統の味と職人技は高く評価され、現店主の女将さんは2022年に明石市から「明石焼職人」として表彰も受けています。静かに微笑みながら鉄板に向かうその姿は、まさに“生きた明石焼の歴史”そのもの。観光地化された賑やかな店とは一線を画し、地域に根差した素朴な温かさと職人気質の誇りが同居するのが「よこ井」の最大の魅力です。「良い物と、売れる物は別」と語る店主の言葉通り、一見さんには地味に映るかもしれませんが、わかる人にはわかる本物の味がここにあります。
明石焼の食レポ
さっそく看板メニューの明石焼(玉子焼)を注文。するとおばちゃんが慣れた手つきでクルクルと玉子焼きを返し、厚みのある銅板鍋の上で丁寧に焼き上げていきます。その様子を眺めるうちに、ほどなくして丸くかわいらしい玉子焼き10個が木の板に乗せられて登場しました。ほんのりきつね色の焦げ目が付いた玉子焼きからはふわっと卵の甘い香りが漂い、見た目にも食欲をそそります。地元で「玉子焼き」と呼ばれる理由が一目で納得できる、黄金色のぷっくりとしたルックスです。
一人前10個の玉子焼きに添えられるのは、透明な徳利に入った冷たい昆布出汁と白い受け皿。それでは、と熱々の玉子焼きを箸で持ち上げ口へ運ぶ前に、まずは出汁に軽くくぐらせて一口。とろりと柔らかい玉子焼きがひんやりした出汁をまとい、ハフハフ…っと頬張ると、思わず笑みがこぼれる優しい味わい!🥰 ふわふわ&とろとろの食感と上品な出汁のハーモニーは、まさにだし巻き卵と茶碗蒸しの中間のような絶妙さです。卵と粉の香りが口いっぱいに広がり、“飲めるたこ焼き”なんて表現したくなるほどスルッと喉を通っていきます。

玉子焼き自体にはしっかり下味が付いているので、出汁はあくまで冷ますため。お出汁そのものはほとんど味付けをしていない極薄の昆布だしですが、これが玉子焼きの旨みを引き立てる名脇役です。薬味としてのネギや三つ葉は一切入っておらず、雑味のないシンプルさゆえに素材の甘みと香ばしさがダイレクトに感じられます。焼き立てをそのまま頬張ればジュワッと広がる卵のコク、冷たい出汁でさっぱり流せば何個でも食べられそうな軽さ。コリッと小気味よい歯ごたえのタコはもちろん地元明石産で、控えめなサイズながらも海の旨みをきちんと存在感として残しています。
店主いわく「本来はまず何も付けずに食べるのが明石焼」だそうで、試しに2個目は出汁を付けずそのままぱくり。すると香ばしい焦げ目とふんわりとろける卵生地のコントラストが際立ち、これはこれで絶品!後からじんわり感じる出汁の風味と相まって、シンプルゆえの奥深さがあります。「これぞ玉子焼き!」とグルメ通もうなる三位一体の旨さに思わず感嘆。ほんのりとした味付けなので濃い味好きには物足りなく感じるかもしれませんが、その上品でまろやかな味こそが創業当時から守られる伝統の味わいなのです。
街の口コミ調査(評判・レビュー)
老舗の明石焼専門店ということで、実際に訪れた人々の口コミも気になるところ。SNSやグルメサイトでの評判を調べてみると、良い点と悪い点の双方からお店のリアルな姿が浮かび上がってきました。
- ポジティブな口コミ:
- 「明石焼きはふわふわトロトロで、卵の風味が濃厚。**“非常に美味しかった”**です!」と、その独特の食感と優しい味に感動する声が多数。
- 「他店の明石焼きとは別格の味わい。唯一無二の玉子焼きを美味しくペロリと完食!」と、伝統の味を絶賛するグルメもいました。
- 「明石焼きの本来の食べ方を楽しめるお店。冷たい出汁で冷まして食べるスタイルが新鮮で◎」と、オリジナルの提供方法に感心する声も。
- ネガティブな口コミ:
- 「出汁も玉子焼き自体もかなり薄味なので、人によっては物足りなく感じるかも…」と、上品すぎる味付けに言及する意見も見られました。濃い味に慣れた人には少し淡白に映る可能性があります。
- 「評判通り店主のおばちゃんは無愛想でした(笑)」というコメントもちらほら。しかし同時に「最後は笑顔で対応してくれた」とフォローする声もあり、職人気質ゆえの寡黙さを指すもののようです。
- 「お店が狭く行列必至」「メニューが玉子焼きしかない」など、店舗の規模・サービス面を挙げる意見もありましたが、「それでも行く価値あり!」との評価が勝っています。
総じて、明石焼そのもののクオリティには大満足する口コミが大半を占めていました。「ふわとろ食感に感動」「これを食べに明石へ行く価値あり」との声も多く、地元民のみならず観光客にも伝統の玉子焼きのファンが着実に増えている印象です。一方で、味の淡白さや接客の素っ気なさについては好みが分かれるところなので、「昔ながらの頑固おばあちゃんがやってるお店」と心得て訪れるとギャップがなく楽しめるでしょう😊。
常連客の楽しみ方
長年通う常連さんたちは、この「よこ井」の玉子焼きをより深く味わう通な楽しみ方を知っています。せっかくなので、いくつかそのエッセンスをご紹介します。
- まずはそのまま食べる: 店内には「明石焼とタコ焼の違い」を示すパネルが掲示されており、「明石焼はつゆにつけ “冷まして食べる” のが本来の食べ方」と明記されています。しかし常連曰く、焼き立てをまず一個は何も付けずに食べてみるべしとのこと。ふわふわ生地本来の旨みと香りがダイレクトに感じられ、「玉子焼ってこんなに味があるんだ!」と驚く人も多いとか。出汁を付ける前に素材の味を噛みしめる…これぞ通の儀式ですね。
- 冷めてからが本領発揮!?: 実は「よこ井」の玉子焼き、冷めても美味しいんです。店主も「当店の明石焼は、冷えた方が美味しくなります」と断言するほど。出来立てアツアツも勿論おいしいのですが、少し時間を置くことで味が馴染み一層まろやかになるのだとか。実際、持ち帰り玉子焼きを家で食べたお客さんから「冷めてもふわふわで感動した!」という声もあります。常連さんの中にはあえてテイクアウトして、自宅で冷まして食べるなんてツウもいるようです。店側もお土産用には出汁を付けない徹底ぶりで、「本体にきちんと味が付いていますのでそのままどうぞ」と包みに注意書きが入っています。玉子焼き単体の完成度が高いからこそのスタイルですね。
- ビールと一緒にほろ酔いタイム: メニューにビールがあるのは、「地元の常連さんは昼飲みしながら玉子焼きを楽しむ人も多いから」だとか。実際、一人前10個というボリュームは小腹満たしやお酒のお供にちょうど良いサイズ感。平日の昼下がりに訪れると、明石のおじさま方が冷たいビール片手に玉子焼きを頬張る光景もしばしばです。「ふわとろ玉子焼き×キンキンに冷えたビール」の組み合わせは、シンプルながら最高の贅沢。観光で訪れた方も、昼飲みOKな方はぜひ試してみてはいかがでしょうか🍻(未成年やお酒NGの方はごめんなさい!ソフトドリンクは持ち込みできるか店主に相談を)。
このように「よこ井」では、食べ方ひとつで味わい方も無限大。常連さんたちは玉子焼きそのもののポテンシャルを引き出す食べ方を知り尽くしているようです。ぜひ皆さんも、自分なりのベストな楽しみ方を見つけてみてくださいね♪
レポーター視点の魅力と今後への期待
初めて「よこ井」を訪れた筆者(レポーター)は、その唯一無二の体験にすっかり魅了されてしまいました。正直、入店した直後は店主が寡黙で少し緊張感すら覚えましたが、玉子焼きを頬張った瞬間にそんな気持ちは吹き飛びました。舌の上でとろける優しい味に「美味しい…!」と感嘆し、思わず「冷めても本当に美味しいですね」と店主に伝えてみたのです。するとどうでしょう、クールなおばちゃんの瞳の奥にぱっと炎が灯ったように感じました。「せやろ。美味しいやろ。」──マスク越しにもわかる誇らしげな笑みを浮かべながら、女将さんは嬉しそうに頷いてくれました。その瞬間、こちらまで胸が熱くなってしまって…!🥺✨
さらに恐る恐る「お店の写真とかネットに載せてもいいですか?」と尋ねてみると、「ええよ、ええよ」と快くOKが。それどころか、そこからは驚くほど饒舌に明石焼への想いを語ってくださったのです。「熱いもんに熱い出汁かけたら火傷するやろ?」「10人中8人が美味しい言うたら上等や」…寡黙な中にも秘めていた商売哲学や信念が次々と飛び出し、まるで昭和のお母さんと井戸端会議でもしているような和やかムードに。一見クールだけど実は内に熱い情熱を秘めた店主の人柄に触れ、「よこ井」というお店がさらに愛おしく感じられたひとときでした。
このように本記事執筆のための取材を通じて実感したのは、老舗の底力と温かさです。流行り廃りの激しいグルメ業界において、「よこ井」は派手な宣伝や奇をてらったサービスとは無縁。しかし70年以上守り続けてきた味への揺るぎない自信と、分かる人にだけ分かればいいという職人魂が、その静かな店構えからひしひしと伝わってきます。実際、明石市から表彰されるなど公式にもその価値が認められており、まさに明石焼文化の生きる伝説とも言える存在でしょう。
今後への期待としては、ぜひこの本物の明石焼を次世代にも受け継いでいってほしいということ。現在の女将さんもご高齢ですが、その技と味をなんとか後世に残していただきたい…!最近はSNSやメディアで取り上げられる機会も増え、20~30代の若いお客さんも訪れるようになりました。**「明石焼ってこんなに美味しかったんだ」**という新鮮な驚きと感動を、多くの人が味わうことでしょう。伝統を大切にしつつ時代に合わせた柔軟さも持ちながら、これからも末永く明石の街で愛される名店であり続けてほしいなと心から願っています。💖
訪問ポイントまとめ
≪訪問アドバイス&基本情報≫
- アクセス: JR/山陽明石駅から南へ徒歩約5分、「魚の棚商店街」の中ほどに位置します。周辺はアーケード商店街になっているので雨の日も安心。商店街のアーケード入口に大きな看板がある「魚の棚」の中に入れば、あとは**「明石焼」の提灯や暖簾**を目印に探してみてください。少し小さなお店なので見逃さないように👀。
- 営業時間・定休日: 10:00~16:00(L.O.)頃まで営業(材料無くなり次第終了)。定休日は木曜日ですが、木曜が祝日の場合は営業し代休ナシとのこと。夕方早めに閉店するので、遅い時間より昼過ぎまでの来店をおすすめします。
- 混雑状況: 平日の昼間は比較的スムーズに入店できますが、週末(土日)のお昼前後は行列ができることもあります。特に12~15時は混み合う傾向ですので、開店直後の10~11時台が狙い目。繁忙時は相席や待ち時間発生の可能性もあります。時間に余裕をもって訪問しましょう。
- 注文・サービス: 基本は人数分の玉子焼きを注文するスタイル。一人前10個とボリュームは多すぎないので、大人であればひとり一皿ペロリといけます。追加注文もOKですが、調理に少々お時間がかかるためまとめて注文した方が◎。テイクアウト可ですが、持ち帰りには出汁が付かない点に注意。「冷めても美味しい玉子焼き」がウリなので、お土産にして宿や自宅で食べても喜ばれますよ。店内飲食の場合、お冷やと一緒に冷たい出汁入りの徳利が最初に出されます。セルフで小皿に注いで使うスタイルです。使い方がわからなければ店主さんに気軽に聞いてみましょう。
- 支払い: 地元の昔ながらの食堂と同じく現金払いが無難です。※クレジットカード利用可との情報もありますが、訪問時は現金を用意していくとスムーズです。お会計は食後に口頭精算となります(一人前600円×人数分)。小銭をご用意いただけるとスマートです。
- その他: 店内は全面禁煙。お子様連れでも問題ありませんが、熱い鉄板があるのでやけど等には注意。写真撮影は基本OKですが、店主や他のお客さんの写り込みには配慮しましょう。美味しい瞬間をSNSにアップして明石焼の魅力を広めるのも大歓迎とのことです📸✨。
≪読者へのメッセージ≫
最後までお読みいただきありがとうございます!🙇♀️ 明石の老舗「よこ井」で味わった**ふわふわトロトロの明石焼(玉子焼)**はいかがでしたか?冷たいお出汁に込められた熱い想い、そして一見クールな店主の胸に宿るあたたかな情熱…文章を通じて少しでも伝わっていれば幸いです。
明石にお越しの際は、ぜひ本場の明石焼を体験してみてください。創業70年以上の歴史が紡ぐ一皿には、他では味わえない優しさと深みがあります。初めて食べたのにどこか懐かしい、その不思議な感覚はきっとあなたの心もホッと癒してくれることでしょう。👵💕
20~30代の女性のみなさんにも、自信を持ってオススメできる名店です。レトロ可愛い雰囲気の中でいただく明石焼は、インスタ映えよりも心に染みる美味しさ!観光で明石を訪れたら、「よこ井」でしか味わえない本物の玉子焼をぜひ堪能してみてくださいね。きっとその瞬間、あなたも明石焼ファンの仲間入り…そしておばあちゃん店主の虜になっているはずです🥰。「明石焼ってこんなに奥深かったんだ!」という新たな発見を胸に、明石の街歩きがもっと楽しくなりますように。皆さんの旅が素敵なものになりますよう、心から願っています🌸
それでは、いただきます!明石焼のおいしさと笑顔が、あなたを待っていますよ。😉👍
この記事で紹介した店舗情報は執筆時点のものです。最新の営業状況は公式HPやSNSでご確認ください。また明石焼きの魅力について何か感じることがあれば、ぜひコメントやSNSで教えてくださいね♪ 明石の名物をみんなで応援していきましょう!