まだ正式発表が始まっていない――だからこそ、胸が高鳴る瞬間だ。
OpenAI は 2025 年 8 月 7 日 10:00 AM(米太平洋時間)/同日 18:00 BST/8 月 8 日 02:00 AM(日本時間) に「LIVE5TREAM」と題したライブ配信を予定している。タイトル中の “S” を “5” に置き換える遊び心は、次世代モデル GPT-5 を示唆するものだろう。GitHub に一時公開されたブログ草稿の削除騒動や、サム・アルトマン CEO が SNS で発した「今週は見逃せない週になる」というコメントも相まって、コミュニティの期待感は一気にピークへ。リーク情報では mini/nano/chat など複数バリアント構成、最大 100 万トークン級のコンテキスト、強化されたエージェント機能などが語られているが、いずれも公式確認前の段階にすぎない。発表開始まで残り数時間――真夜中のカウントダウンは、次世代フロンティアモデル誕生の序章そのものだ。
正式発表なき静寂:慎重姿勢と発表遅延の可能性
現時点(8 月 7 日 21:00 JST)で、OpenAI の公式ブログや News ページは沈黙を守っている。アルトマン CEO は 2 月に「数か月以内のリリース」を示唆しながら、4 月には「さらに数か月遅れる見込み」と発言しており、ローンチ時期は 2025 年後半から 2026 年初頭へずれ込む可能性も指摘されてきた。GPT-5 は単なるモデル更新ではなく推論力とマルチモーダル処理を統合した“フロンティアモデル”として位置づけられ、安全性検証を最優先する同社の姿勢が発表時期を慎重にしている側面もある。とはいえ、過去の GPT-4 発表時同様、ライブ配信と同時に仕様とデモが一気に開示される「沈黙からの劇的解禁」は OpenAI のお家芸。この静けさ自体が大発表の前触れである――そんな見方が業界内で支配的だ。いまはただ、リロードボタンに指を添え、深夜の幕開けを待つのみである。
“Big Upgrade”の予兆:アルトマン発言とリーク情報
水面下の静けさとは裏腹に、ここ数日で決定的な予兆が相次ぎました。OpenAI CEOのサム・アルトマン氏はSNS上で「今後数日で新機能を色々お見せする!今日は小さくて大きな発表。そして今週後半に大きなアップグレードがある」と予告しています。この「小さくて大きな発表」として8月5日にGPT-ossと名付けられたオープンウェイト版モデルが公開されました。GPT-oss 120B/20BはApache 2.0ライセンスで提供され、同社APIモデルに迫る推論性能を持つ初の大規模公開モデルです。業界では「OpenAIが自社APIを脅かすほど強力なOSSモデルを投入したのは、直後に控えるGPT-5で最上位市場を席巻する戦略の一環」と見る声もあります。さらに決定的だったのが公式ライブストリーム予告です。OpenAI公式X(旧Twitter)アカウントは「LIVE5TREAM THURSDAY 10AM PT」と「5」を紛れ込ませた投稿を行い、8月7日10時(太平洋時間)にライブ発表イベントを予告しました。この“不吉な5”の出現にコミュニティは沸騰し、「ついにGPT-5か?」との声が一気に拡散しています。またアルトマン氏自身、週末にChatGPTインターフェースの隅に「ChatGPT 5」と表示されたスクリーンショットを投稿し、OpenAIの応用研究責任者Boris Power氏も「GPT-5を一般がどう受け止めるか楽しみだ!」と興奮気味に発信するなど、内部からも隠しきれない期待が漏れ伝わってきました。
外堀は埋まった:過去の演出と競合他社の動き
OpenAIはこれまでも巧みな演出でAIファンを熱狂させてきました。昨年末には「12 Days of OpenAI」と題し、12日間連続で新機能やモデルをライブ発表するキャンペーンを実施。日替わりでo1シリーズやマルチモーダル音声・ビデオ機能(Santaモード)、動画生成モデル「Sora」公開などサプライズを連発し、最終日には次世代モデルo3のプレビューまで行うという粋な計らいで盛り上げました。このような過去の演出を思い起こせば、今回GPT-5直前に静かな期間があったのも不自然ではありません。そして今や競合各社の動きも含め、外堀は完全に埋まっている状況です。
直近ではGoogleが8月初めに次世代モデル「Gemini 2.5 (Deep Think)」を発表し、そのマルチエージェント型AIによる並列思考で大幅な推論力向上をアピールしました。一方、Anthropic社も8月5日に「Claude Opus 4.1」をリリースし、ソフトウェア開発分野のベンチマークでOpenAIの現行モデル(o3)やGoogleのGemini 2.5 Proを上回るスコアを叩き出したと報じられています。特にClaude 4.1はコード生成テストで74.5%の高スコアを記録し、OpenAI o3の69.1%やGoogleの67.2%を凌駕する性能だとされ、「GPT-5到来前にリードを確保するための焦ったリリースにも見える」との指摘もあります。さらにMeta(Facebook)もLlama 3などGPT-4相当のオープンモデルを次々投入。これら競合の猛追は、まさに嵐の前の静けさの中でOpenAIが動かないはずがない、という確信を業界にもたらしています。
GPT-5が示唆する“総合的AI変革”の兆候
「AGI条項」の存在
GPT-5の開発・リリースが現実味を帯びる中、Microsoftとの契約で定められたAGI(汎用人工知能)条項が注目されています。報道によれば現行契約には「OpenAIがAGIを達成した際、Microsoftが同社先端技術の一部権利を失う」旨の条項があり、GPT-5を控えた現在この条項を見直す交渉が進行中です。裏を返せば、GPT-5が事実上AGIに近い飛躍を遂げる可能性が議論されているとも言えます。
マルチモーダル対応
GPT-4で画像入力対応が実現しましたが、GPT-5ではテキスト・画像・動画を統合理解・生成できる真のマルチモーダルAIになると噂されています。コードネーム「Orion」とも呼ばれるGPT-5は、視覚や映像領域まで含めた包括的能力を備え、かつ幻覚(誤情報)生成の低減など信頼性向上も図られると報じられています。昨年発表された動画生成モデル「Sora」で培われたテキスト→動画技術がGPT-5に統合される可能性もあり、文字通りオールインワンのAIとして期待が高まっています。
自己エージェント化
GPT-5への期待でひときわ大きいのが、自律エージェント的な能力です。OpenAI関係者はGPT-5が「チャットを超えて完全自律のタスク実行へ踏み出すAIアプリケーションを解放する」ことを望んでいると述べています。例えば、ユーザーの曖昧なゴールから最適手段を自発的に考え、外部ツールやコードを駆使してタスクを完遂する、といった汎用AIエージェントの実現です。
動画生成モデル「Sora」の統合
前述のとおり、OpenAIは2024年末の12日間キャンペーンでテキストや画像から動画を作る生成AISoraを公開しました。この技術はGPT-5世代でさらに洗練され、ChatGPTのインターフェース内で動画や音声をやり取りできるようになるかもしれません。マルチモーダルAIとして、テキストによる指示から画像生成(DALLE系)や動画生成(Sora系)まで一貫して行えるプラットフォームとなれば、まさに創造性支援の革命です。
革新的AIデバイス計画
GPT-5を中核に、ハードウェア面でのAI変革も進行中です。OpenAIはAppleの元デザイナー、ジョニー・アイブ氏と提携しAIデバイスの開発プロジェクトを立ち上げています。ソフトバンクの孫正義氏が10億ドル規模の出資を検討しているとも報じられました。GPT-5を搭載した“次のiPhone”級の製品が現れる未来も想像に難くありません。
静かな夜明けに備えて:高まる期待と興奮
繰り返します——今この静かな瞬間こそが、一番エキサイティングなのです。 OpenAIは公式に何も明かしていないようでいて、実はこれだけの伏線と兆候を世界中に散りばめてきました。現時点でGPT-5の実力がどこまでかは外部からは推し量れませんが、初期テスター達によれば「コード生成や数学問題解決能力が向上しているものの、GPT-3から4ほどの劇的飛躍ではない」とも伝えられています。しかし、それ以上に重要なのはGPT-5が解き放つ新たなAIの地平でしょう。
まだ正式発表されていない今だからこそ味わえる、この胸の高鳴りを。もうすぐ訪れる夜明けに向けて、心の準備はできていますか?